しらみ
非常に強いかゆみを引き起こす「しらみ」。
衛生状態の高い現代では、一般的ではないものの、撲滅されたわけではないため、しらみの引き起こす、様々な症状で悩まされる方もおられます。
特に幼稚園や学校など集団生活をしている子供同士で感染する頭髪のしらみや、男女間で感染する陰毛のしらみが目立ちます。
ヒトに寄生するしらみ類には、頭部に寄生するアタマジラミ、体を覆う衣類に寄生するコロモジラミ、主として陰毛(時によって、脇毛、足の毛、胸毛、眉毛にもつく)に寄生するケジラミの3種があります。3種とも季節に関係なく一年中発生し、世界中に広く分布しています。
- アタマジラミ → 頭部に寄生
- コロモジラミ → 衣類に寄生
- ケジラミ → 主として陰毛に寄生
基本的に全てのしらみが、感染者(しらみ保持者)との直接的な接触による感染となります。
アタマジラミでは頭髪と頭髪の直接的な接触が主な感染経路となり、コロモジラミでは躯体の接触や衣類を介して、ケジラミでは性行為が主な感染経路であるといわれています。
しらみ類の寄生による主症状は強い掻痒感(かゆみ)であり、この痒みはしらみ類が吸血時にヒトの皮膚内へ注入する唾液腺分泌物が関係しています。(蚊に血を吸われた時に痒くなる事と同じ原理です。)また、持続的な感染の場合にはアレルギー反応の可能性が高いといわれています。
アタマジラミでは髪の毛で覆われている頭部全体に痒みがあり、コロモジラミでは衣服の折り目や縫い目に多くの個体が潜んで吸血するので、その部分に痒みを訴えることが多くなります。
ケジラミでは、陰毛の被毛部全体に激しい痒みがあり、掻くことによって細菌による二次感染を起こすことがあります。
さらに、しらみ罹患者はしらみに寄生されたことで強い精神的なストレスも受けます。
しらみの防除方法には物理的対処法と、薬剤による対処法があります。
物理的対処法
アタマジラミに対しては洗髪と櫛による方法があります。洗髪では髪の毛にしっかりと固着している卵の除去効果は期待できません。櫛では頭髪に固着している卵の除去も可能であるが、それには櫛目の細かいしらみ除去専用の櫛を用いる必要があります。
コロモジラミの卵、幼虫、成虫は55℃以上の温水で5分間処理すると100%死亡することから、衣服の縫い目に潜り込んでいるコロモジラミの駆除には熱湯処理が大変有効です。
アタマジラミやコロモジラミ症の患者が使用したシーツ、布団カバー、タオル等を温水で短時間処理することによって比較的簡単にしらみ類の駆除ができますので、家庭や病院等で応用すると便利です。
- アタマジラミ → 洗髪と櫛による除去
- コロモジラミ → 衣類や布団などの熱湯処理
薬剤による対処法
薬剤による駆除にはヒトに直接処理する場合と、寄生者から脱落したしらみを予防的に駆除する目的で薬剤処理する場合とに分けられます。
薬剤によってアタマジラミやケジラミを直接駆除するための医薬品として、ピレスロイド系殺虫剤のフェノトリン粉剤または同シャンプー剤が薬局で市販されている。これらしらみ駆除専用医薬品を用法・用量に従って使用することで対処できます。
商品例:スミスリンパウダー 30g
商品例:スミスリンL シャンプータイプ 80ml
衛生状態の悪かった時代に多く流行っていたこともあり、「しらみ感染=不潔・不衛生」というイメージがもたれがちですが、一概にそうとも言えません。
衛生面に気を使うことで、しらみ感染の蔓延を防ぐことは可能ですが、しらみを撲滅できるわけではありませんので、様々な経路で感染する可能性はあり、しらみ感染は誰にでも起こりえることなのです。
特に子供は、集団で活動する機会が多く、感染の可能性が高くなります。
スミスリンパウダー 30g
スミスリンL シャンプータイプ 80ml